http://mainichi.jp/select/opinion/watching/news/20081221ddm004070005000c.html社説ウオッチング:大量失業の危機 派遣法の見直しを
【毎日新聞 2008/12/21】
◇派遣法の見直しを−−毎日
◇「雇用対策法成立、今国会で」−−朝日
1年が早い。志位和夫・共産党委員長が衆院予算委員会で派遣労働者差別、雇用格差を追及、インターネット「2ちゃんねる」をはじめ若者から好意的な反響を受けたのは2月8日のこと、首相は福田康夫氏だった。9月に表面化した米金融危機があっという間に世界に広がり、「100年に一度」の不況が日本列島を襲い始めた。このままでは家と職を失ったまま越年する非正規労働者は相当数に上るという。志位氏が追及した時より、状況はさらに悪化している。
志位質問を思い出させてくれたのが「労働者派遣法を抜本的に見直すことも緊急の課題だ」と書いた毎日社説(19日)だった。
民主、社民、国民新の野党3党が共同提出した雇用対策関連法案が参院厚生労働委員会で可決されたが、与党の反対で成立の見通しが立たない現状について「野党3党案は与党案と重複した内容もある」「直ちに議論を始め、法案の成立を図ってもらいたい。生活ができないという失業者への生活支援金貸与や住宅対策はすぐにでも行うべきだ。雇用対策を来年の通常国会に先送りにしてはならない」と法案の年内成立を求めた。
この問題は朝日が17日に「法案に修正すべき点があるならば手直しして、会期末までに成立させるべきだ。政治は苦しむ国民を放置してはいけない」と書き、20日にも「大事なのは対策を実行に移すスピードであり、職を失った人々に早く手当てが届くことだ」と政府・与党の第2次補正先送り姿勢を批判していた。
◇産経は民主党批判
日経も19日「非正規労働者の失業保険の受給要件緩和や、再就職が困難な人への給付日数の延長など、与野党ともに必要と認め、かつ急がれる政策については今国会の会期内に審議を進められないものだろうか。国民の目線に立ちあらゆる可能性を探る必要がある」と求め、東京も「首相に決断を求めたい。評判の悪い定額給付金などを盛り込んだ二次補正のうち、雇用対策部分を取り出して今国会に提出することはできないものか。……与野党が雇用部分を速やかに処理する。それが政治の信頼回復への一歩である」と提案した。
一方、産経は20日「より責めを負うべきは、政府の対応の遅れを浮き彫りにするねらいで法案を提出した民主党などだ。思惑を優先させ、話し合いを無視する民主党の対応は、共産党ですら批判している」と民主党批判に終始したが、小沢一郎・民主党代表からの党首会談呼びかけを麻生太郎首相が断ったことには触れずじまい。「与野党協議でより効果的な雇用対策の具体案をまとめることこそ、国会の責務ではないのか」とはいうものの他紙とニュアンスが違う。
毎日の19日社説は一歩踏み込んで「ハケン切り」の「元凶」である労働者派遣法の抜本見直しを求めた。
「派遣法改正によって、04年に製造業派遣が解禁されて以降、もの作りの現場で正社員から派遣への切り替えが進んだ。しかし、不況となれば非正規社員は真っ先に解約され、ポイと捨てられた。非正規社員は『使い捨て』労働者だったことが、だれの目にも明らかになった」「製造業派遣の禁止や登録型派遣の是非をも含めて、派遣法を全面的に見直す時がきている」と提言したのだ。
実は政府・自民党や財界でも雇用の規制緩和を見直す動きが始まっている。小泉純一郎首相時代の04年、労働者派遣法が改正され、製造業の派遣が解禁された。しかし、07年1月には安倍晋三首相が財界が求めた「ホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ)」導入の労働基準法改正を非難の嵐の中で断念した。経済財政諮問会議や政府の規制改革会議がもくろんだ一層の労働規制緩和は抑え込まれた。逆に厚労省主導で最低賃金引き上げが行われるなど、労働規制緩和から強化へと「06年に潮目が変わった」(五十嵐仁・法政大学教授「労働再規制−反転の構図を読みとく」)という。
◇労使で「非正規」支援を
日本経団連は昨年、賃上げ容認に転じたが、16日まとめた来年の春闘方針ではベア要求に答えなかった。雇用は「安定に努力」としたものの、具体策はなかった。労働分配率が6年連続で低下した中、連合は昨年の日本経団連の方針転換を受けて8年ぶりのベースアップ要求を目玉にしたが、深まる不況で「非正規社員は解雇し正社員だけ賃上げという構図に、違和感を覚える人も多いだろう」(読売)という国民感情も根強い。
「全体の雇用を守ることで内需の崩壊をどう防ぐかが問われている」(朝日)、「労使も非正規労働者の解雇について条件や支援策に手を尽くすべきである」(日経)という意見が強まっている。本来は「政労使一体」での敏速な行動が今こそ求められるのだが、「機能マヒ」の麻生政権には何を言っても無駄なのだろうか。【紙面研究本部・長田達治】
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- 2008/12/22(月) 00:07:31|
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