http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081231ddm013040111000c.htmlくらしと政治:/3 働く妻、待遇改善遠く
【毎日新聞 2008/12/31】
麻生太郎首相=衆院福岡8区=と小沢一郎民主党代表=同岩手4区=の地元で暮らす中村博文さん(57)、安倍(あんばい)信雄さん(75)一家。不況で目減りする夫の収入を補い家計をやりくりする妻たちを追った。
◇時給アップ、20年でわずか80円
◇看護師、近くに働ける病院ない
福岡県小竹町の中村さんの妻久江さん(55)はパート勤めを始めて20年になる。次男圭さん(24)が幼稚園に上がったのがきっかけだ。ちょうど消費税導入が検討されていたころだった。
モーターの組み立て、建設会社の電話番、携帯電話部品の検査……。会社の経営が悪くなると次の仕事を探し、今は加工食品の仕分けをする。時給700円。20年間で上がったのはわずか80円だ。
3人の子は社会に出た。3年後は住宅機器メーカーで働く夫が定年を迎える。夫は年金受給までの5年間を「再就職してしのぐ」という。でも若者の求人ですら少ない筑豊で、中高年の仕事がどれだけあるのか。年金もどれだけもらえるものなのか。募る不安が「少しでも貯蓄を」との思いを強め、3年前から夫の給料の2割を貯金に回している。
今のパートは週4日で、月収は8万円ほど。「もう少し働きたい」とも思うが、夫の所得税に配偶者控除が適用される年収103万円を超えない範囲にとどめている。いわゆる「103万円の壁」だ。160万円以上になれば社会保険料を払っても収入が増えるというが、今の時給では週5日フルタイムで勤めても届かない。「家事との両立もあるし、体力的にもそこまで働く自信がない」とあきらめてしまう。
だから家計を少しでも切り詰める。一番の支出は食費で、月6万〜7万円。夫の晩酌はビールから発泡酒にしてもらい、代わりに自分も1本2000円の化粧水を半額のものに変えた。
企業の人件費抑制策でパート労働者は年々増え、07年は過去最高の1346万人。雇用労働者の4人に1人の計算で、全体の7割が女性だ。
今年春に施行した改正パート労働法で差別的待遇が禁止されたが、正社員並みに働く人に限られたため、救済されたのは約5%。それ以外の人の賃金も正社員との均衡を考慮することとされたが、努力義務に過ぎず、施行後も久江さんの賃金は変わらない。
パート労働者の年金受給額を上げるため社会保険の適用を拡大する法案も、自民、民主両党が対決姿勢を強め、一度も審議されないまま年を越す。政治の停滞は続き、女性を取り巻く雇用環境の改善は遠い。
◇
午前9時半。岩手県奥州市の高齢者福祉施設にお年寄りを乗せたバスが着いた。安倍さんの次女早苗さん(45)が笑顔で出迎える。今年も大みそかも元日も勤務だ。
20年前からここで看護師として働き、今はデイサービスの主任看護師。バスから車椅子へ、丁寧に高齢者を移す。日々の介助で腰を痛めているが、一瞬でも気を抜けば事故につながる。
両親と2人の子、3世代6人家族を夫との共働きで支えてきた。工場に勤める夫賢二さん(44)は、円高不況で冬のボーナスが出なかった。早苗さんは雪のない日の通勤をマイカーから自転車に変えた。今年夏のガソリン高騰がきっかけだったが、価格が下がっても続けている。
2人姉妹の早苗さんは高校卒業後、仙台に出て看護師資格を取った。姉が結婚し2人きりになった両親が心配で実家に戻り、婿を取った。だが地元に病院は少なく、看護師の求人は乏しい。最近は公立病院の縮小も進む。「看護師不足なんて都会の話。働く病院がないんですから」。やっと見つけたのが今の職場だった。
でも両親に介護が必要になったら、仕事は辞めるつもりだ。「親の介護は人にさせて、自分が人の介護をしていていいのか」と思うからだ。家でも職場でも、女性が主な担い手となる介護の現実が、女性の働き方を揺さぶっている。
施設の特養ホーム部門は定員50床。業界では「80床ないと採算が取れない」とされる。数年前から早苗さんも期末手当や寒冷地手当がなくなった。06年度の介護報酬引き下げが追い打ちをかけたが、施設長は「待遇改善しないと職員が辞めてしまう」と給与を下げず、他の支出を切り詰めてやりくりしてきた。
経営者も職員も期待した09年度の報酬引き上げ。今月末、厚生労働省はその具体策を発表したが、報酬の基本的な底上げは見送られ、サービスへの加算どまり。施設長がつぶやいた。「これでは給与アップにつながらない」
テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース
- 2009/01/01(木) 00:07:25|
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