http://www.toyokeizai.net/life/rec_online/success/detail/AC/a24f1a1b95f9d79b78a96341ac62b13b/最注目の「3年後離職率」――若者は3年で何割辞める?
【東洋経済オンライン 2009/01/14】
「たくさん採用している会社を狙いましょう」。この連載で繰り返し述べてきたメッセージです。ただし、このとき欠かせないプロセスが、離職率のチェックです。
たくさん採用している会社でも離職者が多くては元も子もありません。実際に、新卒者がたくさん辞めることを見越してあらかじめ多く採用する会社も存在し、「残った者だけ本当の社員として扱う」と明言する人事担当者さえあります。ついて来られない人は辞めても構わないという割り切り型の採用をしている会社です。
こうしたことを承知の上ならばよいのですが、知らずに入社してしまったら大変です。採用数を見て、自分の属性から見て入りやすい会社をリストアップしたら、必ず離職率をチェックしてください。
などと、私たちが唱えるまでもなく、『就職四季報』に掲載している「3年後離職率」は、多くの就活生の皆さんの最注目指標となっているようです。また、新入・若手社員の早期離職を問題視する回答企業の方々にとっても、公表には最も神経を尖らせる箇所でもあります。
この「3年後離職率」は、3年前の2007年版から、多くの先輩たちの強い要望によって調査・掲載を始めたものです。最新版2010年版であれば、直近として2005年4月の新卒入社者を対象に調査、3年後の2008年4月1日までに離職した人数の割合を算出しています。
先輩たちが指摘するように、就活をする上で最重要データの一つですから、まずは、3年後離職率を全社にわたってチェックすることです。それによって、自分のリストアップした会社の離職状況が相対的に高いのか低いのか、また、業界によってかなり水準の差があるといったことがわかるでしょう。
『就職四季報』に収録されている離職率には、「3年後離職率」の他に「離職率と離職者数」という項目もあります。こちらの離職率(以下、全体離職率)は新卒に限らず、会社全体でどのくらいの従業員が辞めているのかという指標です。
定年退職や転籍などは原則として含みませんから、端的に言って「転職で辞める人」の割合です。3年後離職率と全体離職率は総じて相関関係にありますが、後述するように3年後離職率はぶれがある場合がありますし、全体離職率にはリストラなど早期退職の状況も付記されていますので、併せてチェックするようにしてください。
●「入社3年で3割」が目安
さて、3年後離職率は、一般的にどの水準を超えると「高い」とされるのでしょうか。
皆さんは「シチゴサン現象」という言葉を知っていますか?就職3年後の離職率が中卒7割、高卒5割、大卒3割に達するという厚生労働省の調査結果から名づけられた言葉で、バブルが崩壊した1990年代後半から雇用情勢の悪化の象徴として使われるようになりました。
特に注目を集めたのは大卒者の離職率で、就職氷河期で難関をくぐり抜けて入社したにもかかわらず、3年内に3人に1人が辞めていることにはかなりの衝撃が走りました。『若者はなぜ3年で辞めるのか』というベストセラーをご存じの方も多いでしょう。
就職環境が好転してきた直近2005年にかけても、この「3年で3割辞める」という状況はほとんど変わっていません。
こうした現象もあり、大卒以上の新入社員の3年後離職率は30%が大きな目安となっています。3年後離職率を3割以下に抑えろ、と社命を受ける人事担当者も少なくないようで、各社の人事部門でもかなり意識される数字です。
ただ、『就職四季報』2010年版の掲載会社1220社について見ると、直近2005年入社者の3年後離職率の平均は14.7%と、「3年で3割」よりもかなり低い数値となりました。
これには、掲載会社が比較的労働環境のよい大手有力会社が多いということもありますが、離職率が高い会社はこれを開示しないという判断が働くことも作用しています。
直近の3年後離職率を「NA」(無回答)または「―」(データなし)としている会社は、全体の約3分の1に当たる398社に及びます。
こうした会社の3年後離職率は、一時的にせよ3割を超えているか、業界平均が高い場合さらに高いことも考えられます。
●水準は業種で大きく異なる
「3割」の目安は一概にすべての会社に当てはまるわけではありません。3年後離職率の水準は業種によってかなりの差が見られます。一般的に高いとされている業種には、外食、ドラッグストア、家電量販店、ソフトウェア開発などが挙げられます。
概して若手でも店長やリーダーとして重責を課せられることが多く、早期のステップアップとして離職に踏み切る人もいます。のんびりと細く長く働きたい人にはお勧めできませんが、できるだけ早く全体観を身につけて自分の力を試したいと考える人にとっては、決して悪い環境だとも言い切れません。
奥の深い3年後離職率ですが、皆さんも自分自身で、その会社の数字が「なぜそうなるのか」と探求してみることをお勧めします。その会社が業界内で群を抜いて高いのならば、その会社に何か原因があるはずです。業界全体で高めならば、業界に共通する要因があるわけです。
『就職四季報』の「特色」や「記者評価」、各種データにもそのヒントが隠されています。こうした理由を見出す姿勢が会社研究には欠かせません。
さらに、3年後離職率は、採用数自体が少ない場合などに急激に数字が変動することがあるのにも注意が必要です。例えば各年1名ずつ採用する会社の場合、その1人が残るか辞めるかで離職率は0%と100%の両極を行き来することになります。
そこで2010年版からは、数値が極端なぶれなのか傾向値なのか少しでも判断できるよう、直近(2005年入社者)、前年(2004年入社者)と2年分の収録を始めました。
すると新たに興味深いことが出てきました。単年度だけ「NA」とする会社です。
2年とも「NA」という会社は基本的な情報開示姿勢に問題がある場合もあるでしょうが、特定の年度だけNAというのは、少なくとも開示された年よりも離職率は高いと判断せざるをえません。『就職四季報』2010年版では、前年は0%を含め何らかの数値が入っているのに直近はNAという会社が31社あります。ぜひ皆さんで見つけ出してみてください。
●発表!若者が辞めない会社
ここまで離職率の高さばかりに注目してきましたが、逆に新卒の定着状況が非常によい会社も実際に存在しています。今回用意した表は、3年後離職率(男女計)が0%の会社、女子の3年後離職率が2年連続0%の会社とその採用実績の一覧です。
採用数の多い順に眺めてみると、大量採用にもかかわらず、3年後離職率が0%というスゴイ会社もあります。0%ではありませんが、三井物産や任天堂といった人気企業の3年後離職率も極めてゼロに近い水準です。
その一方で、皆さんにはあまりなじみのない会社が意外に含まれていることにも気づかれたことでしょう。
もちろん、先に述べた採用数の少ない会社の数字のぶれなど、中身をよく確かめた上での話ですが、人材が流動化する現代にあって、3年後離職率が0%の会社はよい会社の可能性が高いといえると思います。
さらに15%程度までその範囲を広げてみるとその数はかなり増えるはずです。『就職四季報』を丹念に読み込むことで、思わぬ会社と出合い、あまり有名ではないけれどもよい会社を探すことができます。社名にとらわれた就活にハッピーエンドは訪れません。自分にとっていい会社をこの本で探してください。
(『就職四季報』『同 女子版』編集長 赤峰みどり)
テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース
- 2009/01/15(木) 00:09:20|
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