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労働弱者 非正規の現状厳しく 「格差是正」の声届かず
【秋田魁新聞 社説 2008/10/01】
街が動き始める午前6時半。秋田市に住む男性アルバイトのAさん(33)は新聞配達を終えて帰宅する。月に1回、新聞が休刊する日以外、休みはない。隔週の土、日は眠い目をこすりながら同市内の通信制高校へ足を運ぶ。「今は学校が一番の楽しみ」
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| アルバイトをしながら通信制高校に通うAさん。30代からの就職活動に不安を感じている |
2年前に引きこもりから立ち直った。就職を目指して昨春から通い始めた高校。授業の予復習のため、時間を見つけては毎日2時間、机に向かい教科書を開く。「将来は正社員になり、手取りで10万―12万円は稼ぎたいですね」。同世代からは遅れを取ったが、働きたいという気持ちは十分だ。
しかし、現実が厳しいことも分かっている。以前、スーパーの清掃員に応募した時のこと。面接した店員は経歴を聞いて「うちは若い人が多いから…」と、表情を曇らせた。ホームセンターでアルバイトをしようと電話をかけたときも、年齢を伝えると、受話器越しに拒絶するような雰囲気が伝わってきた。
やる気はあるが、受け止めてくれる企業は少ない。県内は働く場が少なく、しかも低賃金。不景気の影響も大きいことに「そりゃそうでしょうね」。Aさんは困ったような笑顔を見せた。
秋田市の男性会社員Bさん(25)。非正規雇用だが、手取りは14万円ほどで年2回、わずかだがボーナスもある。アパート暮らしで車が1台。1人で生きていくには困っていない。
いい相手がいれば結婚もしたいが、共働きでも生活苦にあえぐ同僚を見るにつけ、そんな気持ちも薄れる。「僕にはまねできないな」。少しずつ貯金すれば、将来も1人で暮らす分はどうにかなるだろうし、決して現状を悲観しているわけでもない。「もう限界、という状況にないからかもしれない」とつぶやく。
時折、転職情報に接すると、好条件の県外求人が目につく。秋田から出ても構わないと考えているが、「このまま年を重ねれば、年齢制限に引っ掛かるかもしれない」。そんな不安がよぎる。
この10年で日本の労働環境は大きく変わった。小泉政権の構造改革の陰で、地方経済が疲弊。企業はリストラを進め、非正規雇用を増やした。今や働く人の3人に1人が正社員ではない。
疲弊は、本県の労働関係の数値にも表れている。8月の有効求人倍率は全国平均の0・86倍に対し、本県は0・46倍。先月改正された最低賃金は629円。全国加重平均の703円には遠く及ばない。
「最低賃金の引き上げと、労働者派遣制度の見直しも進めます。併せて、中小零細企業の底上げを図ります」―29日の所信表明演説で麻生太郎首相は力強く訴えたが、景気後退の中、地方は活路を開けないまま力をそがれてゆく。
「誰が首相でも同じに思える」「あまり深く考えたことはない」。政治の話になると、AさんとBさんはあきらめと無関心を決め込んだ。「格差是正」を訴える為政者の声は働く人たちに届いていない。
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