http://mainichi.jp/life/today/news/20091123ddm013100046000c.html働くナビ:男女の賃金差別は解消されたのですか? 【毎日新聞 2009/11/23】
◆男女の賃金差別は解消されたのですか?
◇支給基準は「仕事の質」 評価の仕組み、課題/政府、モデル作りを
総合商社「兼松」(神戸市)の女性社員6人が差額賃金などの支払いを求めた裁判は、10月の最高裁の決定で、違法性を認めた東京高裁の判決(08年1月)が確定した。コース(職種)によって異なる賃金体系のために生じた格差を、男女差別であるとした今回の司法判断を、多様な雇用形態で働く女性たちの格差是正に役立たせることはできるだろうか。
転勤があり基幹的業務を担う総合職と、地域限定で事務が中心の一般職などに分けて採用し、賃金や昇進などを異なる扱いにするコース別雇用管理制度は、1985年の男女雇用機会均等法制定で多くの企業に広がった。実際には総合職は男性中心、一般職は女性が占め、事実上の男女別管理で、賃金格差の温床と指摘されてきた。
兼松でも85年に導入。当時の女性社員は一律に事務職(一般職に相当)、男性は一般職(総合職に相当)に配置された。
裁判で、兼松側は「職務や転勤範囲が違うコース別の制度による賃金格差で、男女差別ではない」と主張。原告側は、営業か内勤かなど外形的な違いがあっても、専門性や責任の重さなど仕事の質や価値に大きな差はないと訴えた。
これを立証するため、原告らは自分たちの仕事内容と、同じ職場の男性の仕事内容を洗い出し、必要な知識や技能のレベル、負担感などの点から比較。客観性を持たせるため、外部の研究者らも交えて評価を点数化して示した。
判決は、原告6人中4人の職務の難易度や専門性は男性の一般職と同程度で、賃金に差をつける合理的理由はなく、男女の賃金差別を禁じた労働基準法4条違反と認めた。
原告代理人の中野麻美弁護士は「一般職の女性が低賃金にされるのと、パートや有期雇用の人が低賃金にされる理由の根本は同じ。総合職や正社員とは雇用の契約形態が違う、仕事や役割が違う、ということだ。だから雇用区分が違っても、仕事の質が同じなら賃金格差は違法だと認めた今回の判決は、非正規雇用労働者への不合理な格差を改善する根拠になりうる」と説明する。しかし課題も大きい。賃金差別の根拠を示すには、仕事の価値を測る基準や、兼松の原告らが行ったような、仕事内容を客観的に分析、評価する仕組みが必要だ。個人の仕事ぶりなどをみる人事考課が中心の日本では、そうした評価はなじみが薄い。
カナダなどでは、職種は違っても職務の価値が同じなら同じ賃金とする原則に基づいた「職務評価システム」を労使で導入し、格差是正に役立てているという。
この評価の手法を広げようと、各地で実践講座を開いている「ペイ・エクイティ・コンサルティング・オフィス」(東京都豊島区)の屋嘉比ふみ子代表は「職場や労働組合で取り組むだけでなく、政府が評価制度のモデルを作って普及させてほしい」と訴える。
バブル崩壊後、女性の一般職採用は抑えられ、派遣法の緩和や不況で女性労働者の非正規化も一層進んでいる。裁判に訴えなくても、格差是正できる仕組み作りが急がれる。【山崎友記子】
◇ILOに申し立て
兼松訴訟の原告や、他の男女賃金差別の裁判で闘ってきた原告らの組合は共同で、国際労働機関(ILO)に、日本は男女間賃金格差を是正せず、ILO100号条約に違反していると申し立てた。100号条約は、仕事の価値が等しければ男女同一の報酬を払う「同一価値労働同一賃金」を義務付けている。日本は労働基準法4条を根拠に、1967年に批准した。申し立てでは、行政も司法も、異なる職務や職種間の男女格差に同法をほとんど適用せず、格差是正を命じないのは条約違反だとしている。
申立人の一人で、兼松の訴訟の原告、木村敦子さん(52)は「裁判では解決しきれない問題がたくさん残っている。格差解消を社会的な動きにしていきたい」と話している。
テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース
- 2009/11/24(火) 01:59:20|
- 男女均等 育児 女性問題
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