[ワーキングプア] ブログ村キーワード[貧困児童] ブログ村キーワードhttp://diamond.jp/series/yuuai/10013/「謎の学費」に悲鳴を上げる親が続出! 高校生ワーキングプア大増殖の真相 【ダイヤモンドオンライン 2010/03/05】
駅の公衆トイレで眠るのが美奈(仮名・18歳)の日課だ。
アルバイト先のキャバクラはラストが午前1時。すでに終電はないので、便座に腰かけてうとうとし、夜明けを待つ。電車が動き出せば、適当に化粧を落として制服に着替え、学校へ。睡眠不足と疲労で授業など頭に入るわけはないが、しかたがない。出席日数はもうギリギリなのだから――
今、こんな高校生たちが全国で増え続けている。4月から高校無償化が始まるが、それでも高校卒業の危機にさらされる子どもたちが、来年も大勢現れるかもしれない。
高校生の“卒業クライシス”の実態について、現場に聞いてみた。
「PTA会費で校舎を修繕」!?
授業料の倍かかる「学校納付金」
全教・日高教・全国私教連が設けた「授業料・教育費緊急ホットライン」。実施は2月11日のみだったが、この日だけで156件の問い合わせがあったという。日高教 小池由美子さんは説明する。
「私立高校の学費を滞納してしまったがどうすればいいか、といった声が多かったですね。私立だと1ヵ月5、6万円はかかるから、2、3ヵ月滞納しても結構な額になってしまう。払わずにいると、出席停止になったり、試験が受けられなくなったり。中には卒業証書がもらえなくなってしまうケースもあります」
このほか、「入学金が支払えなくて困っている」という相談も目立ったという。
高校無償化が実施されても、わが子に高校を卒業させてやれない――
そんな親が急増している。授業料以外に支払わねばならない費用があまりに多いからだ。
同組合の「2009 年度高校生の修学保障のための調査」によると、授業料を除いた初年度保護者負担金平均額は、全日制高校の場合、男子が20万5460 円、女子が21万945 円。授業料のおよそ2倍の額である。
その内訳は「PTA会費」や「生徒会費」「同窓会費」「後援会費」「修学旅行積立金」「冷暖房費」「設備費」などなど。「進路指導費」や「進路研修費」といった項目もある。具体的な用途が不明なものも少なくない。
それもそのはずで、実際には、PTA会費を校舎の修繕に充てたりしているそうだ。本来なら都道府県費でまかなうところだが、財政難で教育予算が削られ、その重荷が保護者のにのしかかっているのが現実という。埼玉県高等学校教職員組合の調べでは、こうした「学校納付金」だけで、25万円以上を徴収する公立高校もあるそうだ。
中でも親の財布を直撃しているのが「修学旅行積立金」。全日制高校の平均総額はなんと9万7096 円である。支払えない親が多いことから、修学旅行そのものを取りやめる学校も出てきている。その一方、36万円を積立させ、オーストラリア旅行を実施する学校もあるのだが――。「公立高校の間でも格差が広がっている」と小池さん。
制服や教材など、自腹で購入しなければならない費用もかなりなものだ。当然、通学費用もかかる。日高教によれば、最近は通学定期を買ってやれない、あるいは解約して生活費に充てている親も増えているという。
「試験日なのに生徒が来ないので電話してみると、月末でバス代が出せないので学校に行かせられない、と言われた」
「片道4時間かけ、徒歩通学している子がいる」
などといった声が後を絶たない。
経済的事情から、やむなく中途退学、転学する子どもたちも増えている。「父親の収入が不安定」「母子家庭だが、母親は持病があり働けない」「両親とも正業に就いていない」などといったケースだ。子どもがアルバイトをし、生計を支えていることも多い。
1日7、8時間労働で家計を支える
「高校生ワーキングプア」たち
こんな子どもたちがとくに集中するのが「定時制高校」だ。
課程は全日制とほぼ同じだが、4年間かけて履修することができる(通信制とあわせて3年で卒業する生徒もいる)。時間帯も夜間部、昼間部などに分かれているのが特徴だ。現在、全国で約11万人の生徒が学ぶ。
公立の定時制高校の不合格者は減少傾向にあったが、08年度から一転して急増。今年度は全国で1174人となった。リーマンショックの影響からか、定員を上回る志望者が殺到している状況だ。高校生の貧困問題に取り組む、埼玉県立小川高等学校の教員、鈴木敏則さんは話す。
「働きながら学校に通う子どもたちは多いが、当然、正社員として働けるわけでもなく、ほとんどはアルバイトです。昔は正社員の生徒もけっこういたんですがね。埼玉県高等学校教職員組合の調べでは、正規は5.1%のみ。95年調査30%から激減しています」
もちろん、お小遣い稼ぎのためにアルバイトをするわけではない。埼玉県立大宮工業高等学校の教員、平塚延幸さんが担当クラスの生徒33人にアンケートをとったところ、「家庭の理由」が5割近く、「授業料納入」は4割近くに上った。
「アルバイトは、雇用ヒエラルキーのいわば末端じゃないですか。中にはいいように彼らを使う経営者もいるんですよ。なにしろ、相手は労働基準法のことなど何も知らない高校生ですから」と平塚さん。
90日間にわたり、研修費などの名目で時給を天引きされていた生徒がいる。長時間残業が日常化していても、「残業代などもらったこともない」という生徒も。だが、こうした子どもたちの多くは、クビになるのが怖くて抵抗できないのだという。
1日7、8時間働く子どもも多く、学校とのかけもちで疲れ果ててしまうケースが少なくない。心身への影響も出始めている。睡眠不足で体調を崩し、喘息の発作を起こす子や、キレて暴れたり、感情を爆発させる子が目立つ。
「高校時代は人格形成するうえでも大切な時期。“精神的過労死”寸前の状態では、コミュニケーション能力や課題解決力、自己コントロール力といった、社会人としての基礎的能力が培えなくなってしまいます」(平塚さん)
さらに今や、不況の影響でそのアルバイトの口も減ってきているという。平塚さんの調査には、自由回答欄に働けない不安を綴る生徒もいた。以下はその内容だ。
『必死になって探している。40軒あたって砕けた。
こうなってくるとノイローゼ状態だ。
(中略)
自分に何ができるかわからない。どうすればいい。
もしかしたら自分は何もできないカスかクズなのか。
先が見えない。自分に何かなければこんなに断られたりはしないか。
畜生。貯金もないし、家族も助けられない』(原文ママ)
ブラック企業に3K飲食店…
中卒や高校中退の「職場事情」
このままでは、親から子へとワーキングプアが連鎖していく――
前出の鈴木さんはそう警告する。非正規雇用の親を持つ子がアルバイトをする。力尽きて学校をやめてしまえば、「高校中退」というハンデを背負うことに。そうなれば、ますます正規就職のチャンスは遠ざかるだろう。
「低学歴でもできる仕事といえば、非正規雇用か、飲食店、あるいはフルコミッションの営業くらいなんですよ」
こう話すのは、NPO法人若者就職支援協会の理事長で、人気ブログ「学歴なんかぶっ飛ばせ(低学歴者支援サイト)」の管理人、黒沢一樹さんだ。自身も中卒という学歴ハンデを背負っている。
「どうする…カバンとか、制服とか…」「今、そんなカネ、出せるわけないだろう…」
高校の入学式前夜、ふすま越しに聞こえる両親の会話を聞いて、中卒で社会に出ることを決意した。
「中学時代、素行はよくなかったけど、テストの成績だけはそこそこだったんですよ。地元の公立高校に合格していて、その春から通うことに決まっていたんですが、これは到底、通いきれないだろうなと。で、入学式をトンズラしちゃったんです」
腹はくくっていたものの、その後の人生はかなりハードだった。
日本料理店に就職し、住み込みで板前修業を始めるも、見習いのうちは給与も少なく手取りはたった5万円。しかたなく、副業で塗装や土木業などのアルバイトをかけもちし、両親に仕送りを続けた時期もある。いわゆるブラック企業も転々とした。
まともな職場にはなかなか採用してもらえず、財布や備品がなくなれば、真っ先に疑われる。それでも、自分なりに努力して仕事の実績を上げてきたつもりだ。毎日、他の社員より1時間早く出社し、準備や情報収集に充てた。「自分にあるのは時間と体力だけ。学歴のハンデを埋めるには、それをめいっぱい使うしかなかった」と振り返る。
そんな自身の経験から気付いたことがある。
「低学歴の若者にとって、一番必要なのは自信を取り戻すことなんです。NPOを立ち上げたのも、偏見にめげて自信を失っている人に元気になってもらいたい、と感じたから」
そこで始めたのがカウンセリング活動だ。2011年末をめどに、資格関連の事業も起こす。「ささやかな資格でいいから、小さな成功体験をつかんで自信を回復してもらえれば」と話す。
NPOでは、いろいろな分野で活躍している人と、学生、若者が交流できるコミュニティづくりも進めている。自分とは違う世界で生きる人々から刺激を受ければ、新しい目標も見えてくるはずだ。
「負の連鎖から脱出するには、まず自分の意識を変えなければ」と黒沢さん。
もちろん、経済的なバックアップは不可欠だ。
前出の鈴木さんたちは国に対し、「高校の授業料のみならず、教育費そのものを無償化すること」「定時制高校の入学希望者を全入させること」「給付制奨学金を創設し、就学援助制度などを実施すること」などを提言している。
不況が長引けば長引くほど、高校中退者や中卒者は増え続け、「第2のロスジェネ世代」が生まれかねない。食い止めるには、個人と社会、双方からのアプローチが必要だ。
平塚さんは言う。
「子どもたちを単なる貧困のショーウインドウにしないでほしい。かわいそう、という感情論では、“お情けお恵みください運動”に終わってしまう。われわれ大人は今、具体的な解決に向けて踏み出すべきなんです」
テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース
- 2010/03/06(土) 04:39:09|
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