http://www.niigata-nippo.co.jp/editorial/index.asp?syasetsuNo=16853万人失業 非正規は使い捨てなのか
【新潟日報 2008/12/01】
不況の冷たい風が派遣労働者など弱い立場の人たちを直撃している。厚生労働省の調べで、来年三月までに職を失うとみられる非正規労働者が三万人以上になることが分かった。
働く人の三分の一、約千七百万人が非正規労働者といわれる。企業にとって非正規労働者はやはり「使い捨て」でしかなかったのか。「あすはわが身」と首筋の寒い労働者は多いはずだ。
三万人は現時点で判明している数字の合計だ。底の知れない不況である。その数はまだまだ増えるとみるべきだ。実効ある雇用対策を急がなければ新たな社会不安が生まれてこよう。
解雇される三万人のうち製造業の派遣労働者が二万人近くに上る。特に自動車業界は軒並み期間工など非正規労働者の契約打ち切りを進めている。自動車業界は部品など関連のすそ野が広い。工場を抱える地方の雇用や地域経済の悪化も気に掛かる。
製造業の多くは国際競争に打ち勝つため、人件費の低い派遣や契約社員など非正規労働者を大量に採用してきた。二〇〇四年には規制緩和の名の下、製造業への労働者派遣を解禁し、国も非正規雇用を後押しした。
だが、規制緩和が行き着いた先には、違法派遣や不安定な雇用、低賃金など、さまざまな社会問題が待っていた。労災事故の多発につながり、「ワーキングプア」を生み出した。
そして、米国発の金融危機に端を発した世界規模の不況の嵐である。その暴風雨の前面にさらされたのが「雇用の調整弁」とされる非正規労働者だ。
安い賃金で働かされ、不況になれば会社を守るために簡単にクビを切られる。そんな不条理な立場に労働者の三分の一が置かれている。「安心して暮らす」には程遠い雇用環境だ。
麻生太郎首相は「非正規労働者の雇用維持」など、新たな雇用対策を検討するよう与党に指示した。だが「年長フリーターらの正社員雇用助成」などを盛った二次補正予算案は今国会への提出を見送った。掛け声の割には緊迫感が欠けているのではないか。
契約を打ち切られた派遣社員の中には、会社の寮から立ち退きを迫られる人もいる。職もなく師走の街に放り出された労働者は何を頼ればいいのか。政治はそのことを考えるべきだ。
大量リストラの背景には、国民の生活基盤ともいえる雇用の現場に、規制緩和を無原則に持ち込んだことがある。国の責任は大きい。
リストラされた労働者にとって、政局絡みで空転する政治はあまりにも無力だ。弱い立場に置かれた人に手を差し伸べるのが政治であろう。無策のつけを弱者に払わせている現実を直視してもらいたい。
テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース
- 2008/12/02(火) 00:04:12|
- 労働問題社説
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